名門ホテルに泊まるスペインの旅
これは2,000年8月、夏休みを利用してとても贅沢に旅行をした顛末記の保存版です。
宿泊は一流ホテルを必ず連泊、新幹線は一等。ツアコンのかゆい所に手が届くサービス。スペイン良いとこ取りの贅沢パックツアーですが、その観光内容より各地から集まったメンバーがいったい何者なのか?あっと驚くその結末や如何に。
名門ホテルに泊まるスペインの旅 顛末記
さあ!情熱の国スペイン旅行の始まりです。
八月十二日、前泊した東京を出発したのが朝八時です。成田の日航カウンターは大変な混雑でした。遅々として登場手続きの進まない団体カウンターを避け私達は個人カウンターに回りちゃっかり手続きをしてしまいました。
何回も外国旅行に行ってますがなぜか日航は初めてでその点も期待しているんです。
御陰で時間も少し余裕が出来、国産たばこやスペインの通貨ペセタの両替を済ます事が出来ました。其れにしても日本を脱出する人のなんと多い事か。
さすが日航、ほぼ定刻にテイクオフ。十七人プラス現地で合流三人の計二十人のパック旅行が始まったのであります。
日航の機内食はさすがに日本人に合わせて有りとても食べやすいのに驚かされるのと言葉遣いとサービスのきめ細かさが印象に残りました。
オランダのスキポール空港乗り継ぎ日航のコードシェア便スペインのイベリヤ航空でバルセロナに!と思いきや此処で予定の二時間遅れでテイクオフ。ホテルに到着したのが現地時間零時、ベットに潜り込んだのが二時。東京を出てから丁度二十四時間経っていました。
翌日は車窓から見たバルセロナ市内観光。グエル公園、スペイン広場、谷口の靴が脱げてコケ、有森がデッドヒートして銀メダルを取り「自分を誉めてやりたい」と言った心臓破りの丘を通ってオリンピックスタジアムやコロンブス記念碑を見ながら唯一期待の天才建築家ガウディの傑作聖家族教会へ。
予想していたより小さめでしたが良くまあこんなけったいな物を作ったと思うのですが、詳しく観察すると荒削りの重なりが新たなオブジェとなりその固まりが建物と成る素晴らしさに身の毛が寒くなるのを覚えました。
写真で見るあの建物は実は裏から見たショットなんですね。行ってみて初めて知りました。
昼食はブイヤベース、サルスエラとスペインシャンパンのカバでしたが酒の嫌いな僕には何飲んでも同じでむしろ水(スペインの水アクア)の方がよっぽど有り難いと思った次第です。
昼食後OPツアー組と自由行動組に分かれましたが私は自由行動。家内と二人テクテクと歩き始めました。
ジプシーの音楽や大道芸、観光馬車など雰囲気を味わって、たまたま見つけたハードロックカフェで自分用のTシャツをゲット。バスで素通りしてしまったスペイン広場迄テクテク。車窓でしか見られなかった旧闘牛場を間近に見たり広場の雰囲気を存分楽しんだので有ります。
夜は闘牛のOPツアーに参加しました。
闘牛用の牛は何不自由なく広い牧場で特別に育てられるそうです。これから何が起こるのか知る由もない牛がファンファーレとともに闘牛場に御出ましです。
一日に人間の娯楽のために餌食となる牛は六頭と決まっています。其れを三人の闘牛士が順に出て来て戦う訳です。
日本人から見るととても残酷なショーがこれから始まります。
目隠しをした馬にまたがった人が穂先15㎝太さ4㎝ぐらいの槍を向かってくる牛の背中に突き刺します。その傷口からは鯨の塩吹のごとくドボー・ドボーと血が吹き出ています。説明に依れば人間と対等の力で戦うため!との事ですがどうも合点がゆきません。さらに二人の闘牛士が向かって来る牛の背中めがけて30㎝ほどの剣を二本ずつ何回か刺します。これでやっと準備完了。気の弱い人は此処までで気分が悪くなりそうです。我々の知っている赤いマント(カポーテは重さ5Kg)を持ったあの闘牛はいよいよここからが始まり始まり。
右に左にひらりひらりと揺れ動く赤い色に興奮した牛はよだれを垂らし血を吹き出し前足で砂を削って向かって来ます。途中戦意を失った牛にも容赦なくカポーテをヒラヒラさせ興奮させます。
闘牛士は自分の体を動かすことなく牛をかわすのが良い闘牛士だそうです。
頃合いを見ていよいよフィナーレ。
60㎝ほどの両刃の剣を持った闘牛士が猛進してくる牛めがけて背中の急所に一突き。剣の根本まで刺された牛は一瞬にして絶命するのでした。
と、此は上手く行った時のこと。急所に当たらなくてやり直したり半端に刺さって抜け落ちて何回もやり直したりそれはもう散々な目に遭うわけです。
其れを観衆はヤジりながら見ます。こんな残酷な事が毎日曜日、スペインの殆どの都市で行われて居るのです。
下手な闘牛士には容赦なくヤジが飛びます。上手な闘牛士には観客はハンカチを振りその勇気と技量を讃え牛の耳としっぽが与えられます。歓喜に答えた闘牛士はその耳としっぽを今度は観客に与え貰った人は家宝にするのだそうです。
所で、可哀想な牛はどうなったでしょうか。
刺さっていた剣をすべて取りワイヤーを掛け三頭立ての馬に引かれて脱兎のごとく会場を後にします。
直ちに解体された肉は次の朝 ‘昨日の牛’と称されて店頭に並び其れを食らうスペイン人は闘牛以上に理解できません。
さて、この闘牛に我々を連れて行ったガイドの見え見えを暴露しましょう。
一頭が終わると次の一頭、其れが終わると次の一頭と同じ事の繰り返しである事に日本人ご一行は気が付きます。そこでガイド曰く「帰りたくなったら言って下さい。」此を何度も言いおって!こちとらは先刻承知だよ。さっさと仕事やっつけて終わりにしたい事ぐらい。そうは行かない。
幸い誰も帰ると言わなかった我々で有りました。
すっかり夜も暮れて宿に帰った我々を待って居たのは今宵の食事を何処で取るかでした。寝不足で体調必ずしも良くない我々はホテルのフルコースはとても受け付けないし、食べずに寝るのも腹減るだろうし、幸い近くにレストランが有ったのでそこでイタメシを食べる事にしました。
次の朝聞いた所によるとホテルで食べたグループ、我慢して食べずに寝たグループ、外で食べたグループ、そして驚いた事に日本から持ってきたインスタントラーメンを食べたグループに分かれました。
インスタントラーメンとは気が付かなかった。今度から持ってく事にしよう。
つづく
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